MMT(現代貨幣理論)に関するサイトなどを最近一通り眺めてあることに気が付いた。それはモノの供給が常に一定以上満たされていることを前提にして話をしているということだ。
国民が十分豊かになりモノを沢山買う必要がなくなった日本のような国にはMMTは画期的で最適の経済政策かもしれない。かつておきた世界恐慌などにもMMTは有効だったかもしれない。MMTはモノはあるのにお金がなくておきる不況にとてつもなく効果を発揮する。
お金というものは使わなければどんどん流れが滞りさらに使われなくなっていく。これがデフレスパイラルで日本が長く陥った状況だ。そこで滞っているところにお金を供給してやればお金の滞りが解消され景気がよくなるとされている。国民が貯蓄を増やすため支出を削っていても無理やり景気を循環させることができる。。
おそらく理論の前提を崩しさえしなければどれだけ財政赤字を増やそうが国家は破綻しないのかもしれない。しかし理論の前提があまりにも簡単に崩せてしまう。
MMTの大前提はこれ。
確かに現在国民は国家を信用しお金を使っている。お金の価値の源泉は国家への信用信頼だ。しかしそれは生きるのに必要なモノを国家が発行したお金で買えているからだ。
なおMMTがハイパーインフレを引き起こすという議論を見かけるが仮にハイパーインフレになったとしても国家自体の信用が破綻していなければ何ら問題はない。物価が1億倍になっても1億倍分の紙幣を国民に供給し今の1億倍にあたる何か新しい単位のお金を作ればよいだけだ。しかしそれは必要なモノがそのお金で買えることが前提の話だ。
モノを買いたくても今の価格では買えなくなるくらい供給が減る状況は沢山考えられる。
・少子高齢化による働き手の減少とリタイア人口の増加
・国民の貯蓄が増えることによる働く意欲の減退
・気候変動による作物などの不作
・企業の倒産によるサービス・生産の消滅
・戦争や国家間不和による貿易の停滞
・大規模地震・災害・疫病の流行
例えば今起こっている航空運賃の値上がりは新型コロナウイルスの感染拡大による旅客数の減少で、航空各社が大幅な減便に踏み切り、航空券が品薄になったために起こっている。
食料がもし買えないとなればどんなことをしてでもそれを手に入れようとする。でなければ餓死をする。そのときはどんなに値段が高くなっても買う。そのような時に増税でもされようものなら暴動である。
MMTではインフレに対処するためには増税や金利引き上げにより貨幣流通量を減らして対処することになっている。しかしそのようなことをしても食料の供給量改善につながらないからインフレも解消しない。問題に対処するには食料の供給を増やさなければならないが、しかしそれは構造的な問題から起こり即座に解消できないかもしれない。MMTではそのような状況になったときインフレに対して打つ手がなくなる。貨幣の価値がモノに紐付けられていないことが仇となる。
お金はあるのにモノが買えないという状況になったときMMTの一番重要な前提が崩れる。信用の源泉が国家からモノに移り始めるからだ。
その時理論の一番大事なベースである所が崩壊し理論自体も破綻することになる。
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